【第2章】日本発セシーナが誕生できるまで – スペイン・バルセロナでの出会い

セシーナとは、スペイン北部の山あいで古くから作られてきた牛肉を熟成させて作る生ハムを指します。
岩手短角和牛セシーナがどのようにして生まれたか、誕生秘話をシリーズでお伝えしています。
前回(第一章)はこちらから

赤身肉の岩手短角和牛を美味しく食べるには

岩手短角和牛で生ハムを造ろうと思ったきっかけは、自社で岩手短角和牛を取り扱い始めた2006年頃にさかのぼります。
黒毛和牛と比べて低脂肪で赤身の割合が多い岩手短角和牛は、
「お肉固くて食べられない」
「パサついて美味しくない」
とお客様からご意見をもらう機会が度々ありました。

赤身肉である岩手短角和牛の美味しさをダイレクトに伝えることができないかと長年考えていた中で、生ハムであるセシーナの存在を知ることになりました(第一章を参照)。
生ハムだと固くならならず、加熱する必要がないので誰が食べても美味しい状態で賞味ができる商品だと思い、岩手短角和牛でつくる生ハムの開発に意欲的になりました。

今後の健康志向時代に適し、岩手短角和牛の魅力を伝えるために「本物」を基本に考え、探し求めていた私にとって「セシーナ」はまさに希望の光となりました。

「アリメンタリア2014」は、バルセロナで2年に一度開催される食品見本市です。
スペイン北西部山岳地帯レオン地域(牛肉の産地)を中心に、セシーナの製造を行っている製造元7社が集まるという情報を田村社長からいただき、「実食と次回製造工場を見学させていただくアポ取り」を目的に行きました。
海外に行くとはあまり考えていなかった私にとって大きな決断でしたが「食べてみたい」という好奇心が勝り導かれるように向かいました。
非現実的な夢物語に家族には反対されましたが何とか出発の日を迎えました。

スペインへ旅立つ直前の空港の様子

スペインへ旅立つ直前の空港の様子

 

 

妻からのサポート

大学卒業時にグアムへ卒業旅行に行ったきり行っていなかった海外。
岩手を出てバルセロナのホテルまでは一人。英語は話せない。スペイン語もよくわからない。そんな不安要素しかない私に、妻がツアーマニュアルを作ってくれました。
妻は20代の時にマルタ島での語学留学の経験がありヨーロッパ、北アフリカ等旅してまわったそうです。その経験から、入国でつまずくポイントを手帳にまとめて私に手渡しました。

妻が作ってくれたツアーマニュアル

妻が作ってくれたツアーマニュアル

妻は、いわて沼宮内駅新幹線ホームまで見送りに来てくれて、“かわいい息子を旅に出す思いでいたかのように”泣きながら手を振ってくれました。
私は妻が教えてくれた通り遂行し、イスタンブールでのトランジットも上手くいき、スペインへの入国もスムーズに迎え、無事地下鉄を使いホテルまでたどり着いた。

 

スペイン・バルセロナでの出会い

2014年3月31日

自宅を出て29時間やっとの思いで無事ホテルに到着。
現実なのか?夢なのか?確認するかのように何度も外をみましたね。
今でも聞こえてくる市街の音覚えてます。

スペイン・バルセロナのホテルからの景色

スペイン・バルセロナのホテルからの景色

ホテルに迎えに来てくれたのがプロのフラメンコダンサーで岩手県出身の「中田佳代子」さんでした。バルセロナに移住しフラメンコの公演活動等行い盛岡にもフラメンコスクールも開設し大活躍の時の人。
バルセロナにも友人は多く夜の歓迎パーティーは東京で飲んでる時と何も変わらず状態。

歓迎パーティーの様子

歓迎パーティーの様子   中央:中田佳代子さん 左上:通訳の鈴木さん

ここで飲んだビールが忘れられないですね。美味しかった!!
次の日は2年に一度開催される「アリメンタリア2014」で「CECINA:セシーナ(牛肉を熟成して作る生ハム)」と初対面です。

 

2014年4月1日

アリメンタリア2014には通訳さんと一緒に会場入り。
全世界から食品が集まる日本でいうFOODEXみたいな見本市ですね。
大きな会場、多くのメーカーそしてバイヤー。

アリメンタリア2014会場の様子

アリメンタリア2014会場の様子

 

セシーナ展示ブースが集まるエリアを探すのも一苦労でした。
やっと念願のセシーナブースにたどり着き、目に飛び込んできたのがこのセシーナのブロック。
圧倒的な存在感でした!

圧倒的な存在感を放つセシーナのブロック

圧倒的な存在感を放つセシーナのブロック

 

セシーナの強烈な洗礼を受けいざブースの中に!!
部位別に試食できるというので、遠慮なくいただきました。
頂いたのは冒頭の写真の彼が持っている外モモのセシーナ。

一口の中に入れると
「牛肉らしい赤身の味が広がり、塩味がして、チーズのような熟成香が漂い、ほのかに草の香りがする!!」
驚きと感動しかありませんでした。
ブースにはワインも置かれていてそのマリアージュが最高でした。シンタマやウチモモの部位もいただき部位ごとでの味わいの違い香りの出方など、驚きや感動を繰り返し、鳥肌や背中に電気が走りっぱなしの興奮状態になりました。

牛が摂取してきた「草」が牛の生ハムのセシーナにするとフレーバーとして口の中に広がるという体験は、まさに豊かな岩手の環境で育つ岩手短角和牛にピッタリであると確信しました。
逆に何を食べてきたかによって香りが変わることも改めて分かり、生産現場を理解しようとする意識もさらに高まりました。

私はこの瞬間、バルセロナの地で「岩手短角和牛でセシーナを造る!!」と決めたのでした。

第三章へつづく

「岩手短角和牛」と「のだの塩」のみで作られる熟成生ハムセシーナのブランドサイトはこちらから

 

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