岩手短角和牛の最大の特徴は、おおらかな自然のサイクルにゆだねた飼育方法。日本の畜産では他に類をみない「夏山冬里方式」にあります。春先に牛舎で生まれた子牛は、母牛の乳を飲んですくすくと育ち、新緑シーズンを迎えると母子で山の牧野に放されます。これは「山上げ」と呼ばれ、何百年も変わらず受け継がれてきた牧歌的な風景。広大な草原をうれしそうに駆けまわる牛たちは毛並みもつややかで、生命の輝きにあふれています。
夏場、岩手に吹く冷涼な北東風「やませ」の影響で、山が霧におおわれると、栄養価の高い牧草がよく育ちます。暑さの苦手な牛たちも涼しい風に癒され、新鮮な青草をじゅうぶん食べて、健康的で引き締まった肉質へと育ちます。
この肉の旬は春。出産時期が春になるため2年後に一気に出荷時期を迎えます。旬を迎えた牛肉は上質な旨味とフレッシュな赤身の肉質が特徴です。